#12 決算前に、税理士と話すべき3つのこと
こんにちは。女性税理士の紺野です。
税理士というと、少し堅苦しい印象を持たれている方も多いかもしれません。
「きちんとしていないと怒られそう」と感じている方もいらっしゃいます。
だからこそ私は、経営者の方とお話しするときには、できるだけ話しやすい雰囲気づくりを心がけています。
税理士と安心して連携し、気持ちよく経営に集中していただくには、スムーズなコミュニケーションが欠かせないと感じているからです。
特に「決算前」は、双方がしっかりと情報共有をしておきたいタイミング。
私にとっても、普段お忙しい経営者の方とじっくりお話しできる大切な“対話のチャンス”だと思っています。
今回は、経営者の方に向けて「税理士と決算前にこそ話しておきたい3つのポイント」をご紹介します。
① 利益の見込みと納税額のシミュレーション
「今年、利益はどれくらいになりそうですか?」
この問いにスッと答えられる経営者の方は、実はそれほど多くありません。
決算前に利益の見込みを出し、法人税や消費税の納税額をシミュレーションしておくことで、
次のような備えができます。
- 節税の対策が打てる
- 資金繰りの準備ができる
- 来期の意思決定(投資、人材採用など)に活かせる
- 思った以上に利益が出ていれば、決算賞与の支給も検討できる
数字を整理することで、「なんとなく不安…」という状態が「具体的に対応できる課題」へと変わります。
そのお手伝いをするのが、私たち税理士の役割でもあると感じています。
② 節税対策とその“落とし穴”
前の税理士への不満としてよく聞くのが、「節税の提案がなかった」という声です。
もちろん、節税は大事なテーマ。ただし、現実的にできることは案外限られているのも事実です。
決算間際に焦って色々と購入するケースもよく見かけますが、
期末までに納品されなければ「前払金」扱いになり、思ったほど節税効果が得られないことも。
たとえば:
- 無理に保険に加入し、後でキャッシュが苦しくなる
- 「使い切るための経費」が後悔の種に
- 将来の融資や事業計画にマイナス影響が出る
こういった“やりすぎ節税”は、かえって事業の足かせになることもあります。
節税は「目的」ではなく「手段」。
本当に必要な支出か、来期以降の経営にどう影響するか。
そんな視点で、一緒にじっくり考えていけたらと思っています。
③ 将来のビジョンと経営課題
決算前は、今期の数字をまとめるだけでなく、来期に向けての準備を始める良いタイミングです。
実際、多くの経営者の方はこの時期にすでに来期のことを考えています。
税理士としては申告書を期限までに提出するのが大前提ですが、それだけで終わらせてしまうのはもったいないと思うのです。
たとえばこんな“モヤモヤ”、ありませんか?
- 来年は新しい事業にチャレンジしたい
- 人を増やしたいけれど、採用できるか不安
- そろそろ事業承継や引退も視野に入れ始めている
こうした考えを、ひとりで抱え込まず、ぜひ言葉にしてみてください。
話すことで、自分でも気づいていなかった想いや方向性が見えてくることがあります。
私は、そうした言語化のプロセスに寄り添える税理士でありたいと考えています。
最後に
決算は、過去の数字を締めくくるだけでなく、未来を見つめ直す大切な節目でもあります。
そしてそのタイミングで、どんな対話ができるかによって、経営の進み方も変わってくるのではないでしょうか。
「数字」と「対話」、どちらも大切にしながら、経営者の皆さまが少しでも安心して前に進めるよう、寄り添っていけたら嬉しいです。